子どもの声は騒音でない

日本小児肝臓研究所 理事長
藤澤 知雄

少子化はいろいろな問題をあぶりだします。最近、驚いた報道があり、考えさせられました。それは、公園などで子どもたちの声が「うるさい」という苦情が相次ぐことです。この件の発端は長野市の某市立公園に対して、周りの住民が「子どもたちの声が騒がしい」と訴え、結局その公園が閉鎖になったことです。長野市の住宅街にある公園をめぐり、長年にわたり一人の住民から子どもの声が騒がしいなどの訴えがあり、それを受けて市は公園の閉鎖を決めました。市は「より良い対応策について話あいを続けたが、解決策が見当たらなかった」としています。

この点に関しては、例えばドイツでは保育園や公園を造るとき、子どもの声は騒音だという理由で、公園の設立が頓挫しないように、子どもの声は騒音ではないとする法律があるそうです。日本でもこのような対策が必要だと思いますが、問題はここでも少子化がキーワードだと思います。少子化で子どもいない世帯や高齢者だけの世帯が増加した影響で、かつては地域で当たり前に聞こえた子どもの遊び声も、聞きなれない人には我慢できない騒音とみなす場合は多くなっていると思います。

ではどうすればよいのでしょうか、法律で一律に子ども声は騒音でないとする前に、国や自治体に公園などの施設における防音対策をどこまですべきかの指針を立てることが重要だと思います。さらに何よりも少子化を止めて絶対数の子どもを増やすことが大切と思います。